ガウディと薬師丸ひろ子 / GAUDI and Hiroko Yakushimaru

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「批評5」
NHKの『ガウディの遺産』。女優・薬師丸ひろ子が、彫刻家・外尾悦郎とサグラダ・ファミリアを訪ねる番組。サグラダ・ファミリアは、私などが言うまでもなく「成長し続ける教会」として世界的に有名。そのガウディは1926年6月7日、路面電車に轢かれて死亡。みすぼらしい格好をしていたため病院での治療が遅れたらしい。彼は、毎日職人たちに「諸君。明日はもっといいものを作ろう」と語っていたという。すでにいいものを作っているのに。何とも素晴らしい人だ。

そして私は、この番組を見ながら、ある種の「幸福」を感じていた。それは、元アイドルの薬師丸ひろ子が、いまも元気で、謙虚で、自然体で、おばさんの姿を取りながら人間として成長し続けている存在に見えたから。謙虚に、真摯に、人間として成長し続けること。それは、アイドルにも、何らかの仕事を成し遂げた人にも、ふつうの人にも、誰にも容易なことではない。世間には80%しかない才能を120%に見せることに必死で、それに成功して自信過剰で傲慢な人間になり成長を止めてしまう者も多い。薬師丸やガウディはその逆。薬師丸のようなおばさんと一緒にいると、100点満点で幸福で、平和で、しかも同時にきびしく自分の創造性を試される気がする。こういう人間に対しては、ウソはまるで通用しない。ガウディが周囲の人びとにとり貴重だったように、薬師丸もまた同じように貴重だと、番組を見ていて私は考えた。

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