月別アーカイブ: 2016年3月

脳の中の音楽 / sound in the brain

「ダンスの研究5」
スペースチューブ体験では、時々「音楽」を聴く人がいる。スペースチューブの中に入ると、多くの子供たちは
興奮してキャーキャーと声を出して遊びはじめる。でも、静かにする子供たちもいる。ある時そんな子供の一人に「何をしているの」と聴くと、「しー。静かにして。じっとしていると音楽が聴こえるの」と小さな声で答えてくれた。スペースチューブの外部と内部では身体をとりまく空気の密度が変化するため、その差を「音楽」として聴いているらしい。

ダンスでも同じような現象が起きる。ダンサーにはダンスするための「音楽」がほとんど必須だけれど、ダンサーの中には実際の「音楽」を使わなくても「内部の音楽」を聞いて踊るという人たちが存在するからだ。「内部の音楽」とは、抽象的な事柄ではなく明白に物理的現象であるに違いない。私もダンスしている時そんな「音楽」を時々聴いている気がする。そして、その理由を「脱人間的な動きを繰り返した時の、脳の特有な作用」ではないかと見当をつけている。人間の脳は動物時代からの身体の動きの記憶を貯蔵しているので、人間的な動きと脱人間的な動きの間をダンスの動きとして往復していると、脳の記憶にズレが起き、そのズレが「ニューロンを通過する急激な電流の変化=音楽」として聴こえるのではという私の推測だ。

私は、こんな推測も有効な仮説として成立するかどうかを検証してみたい。そして、スペースチューブの内部で「音楽」を聞く人やダンスの中で「音楽」を聞く人の、その音源についても情報化したい。そのような「音楽」をデジタル信号として情報化できるなら、一体どんな現実の「音楽」として聴こえるだろうか?

新しい家具/アパロス

「社会デザインの研究3」
スペースチューブにヒントを得たデザインの一つとして、イスでもありベッドでもあるような未来型家具をアパロスと名づけ、工業デザイナーと開発したいと私は考えている。アパロスに必要な機能は、およそ以下の通り。

<1> 「<立つ>と<坐る>の間で、また<坐る>と<寝る>の間で可能になる多様な姿勢」をサポートできること。
<2> アパロス体験により「懐かしさの感覚」がつよく喚起されること。
<3> 「懐かしさの感覚」を入り口にして、その人に必要な「記憶回復」に役立つこと。
<4> 一部の記憶については「映像」としてスクリーンで見ることができ、いつでも再現できるようにデジタル情報としてストックできること。
<5> 「アパロスの形状」はいまだ誰も見たことがない不思議なもので、美しく、しかし威圧的ではなく、親しみやすいこと。

果たしてこんな新しい家具をつくれるだろうか? つくってみたい。

© 2015 Tokyo Space Dance