社会デザイン、6テーマワークショップ

■社会デザイン、6テーマワークショップ

教育・健康・福祉・アート&サイエンス・環境・宇宙

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私たちの現在の社会では、快適な生活を望むなら、それを満たすための技術は豊富に用意されており、誰もが容易に豊かさを享受できます。しかし、一方で、コミュニケーションがネットや携帯に依存しすぎると、アートを生み出したり人の感情を読み取ったりする「感受性」が衰えたりしないでしょうか? また、運動不足や、姿勢の悪さなどによる身体の歪みにより、人間が本来動物として生きていく上で重要な身体感覚が失われたりしないでしょうか?

私たちは、現代生活の中で人間の身体に生じつつある深刻な問題に警鐘を鳴らし、「次世代を担う子供たちの教育、一般の人たちの健康開発、年配者のリハビリ、何らかの障害をもつ人たちの自信の回復、アートやデザインの創造と環境への配慮、宇宙に対する想像力の養成」、それらを スペースチューブ体験による以下の6テーマとして、トータルにサポートしていくことを考えました。

※『社会デザイン、6テーマワークショップ』では、スペースチューブに異なった機能をもたせて『バランスと姿勢・光と闇・リアルとバーチャル・思索と癒し』による「4つの部屋」を構成し、テーマ毎にふさわしい部屋を使用します。

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“教育” : 新しい視点から個性と創造力を開発する

スペースチューブ体験で、こどもたちは「全身的な身体感覚」を回復させ、自分がリアルな身体的存在であることを体感できます。その上で、自分がどのような「感性の傾向」をもつかを知り、それを「個性と創造力の開発」に役立てることができます。

[教育ワークショップ]

・主として『パランスと姿勢の部屋』『リアルとバーチャルの部屋』使用。
・対象 ; 「クラスA=3歳〜7歳」「クラスB=8歳〜12歳」「クラスC=中学生以上
・最後に、ワークショップの成果として『宇宙ダンス(10分)』を構成し、発表。

歩く・ゆだねる・バランス・耳を澄ます・浮遊」の5つの項目を実践し、こどもたちの「個性的なからだの使い方」を引き出します。こどもたちの動きの様子をよく観察すると、そこには驚くほどの「違い」が見られます。私たちは、その「違い」について、「運動派・構造派・幾何学派・音楽派」と4つのタイプして名づけています。

運動派」は、ひたすら「新しい動きの開発」に熱中するタイプ。「構造派」は、スペースチューブの「構造」が気になり外からスペースチューブを眺めたり、布地やロープや設置方法などをチェックしたがるタイプ。「幾何学派」は、スペースチューブ内部の「美しい空間造形」に見とれるタイプ。カメラを渡すと大人も驚くような素晴らしい写真を撮ります。「音楽派」は、スペースチューブに入った時と外にいた時の「空気の密度の差」を敏感に感じとり、その差を音楽として感じるタイプ。

こどもたちの個性が「からだレベル」でこれほど違うなら、その個性の差を考慮することで、既成の教育プログラムに「新しい要素」をつけ加えることも可能になるでしょう。情報社会が進展し、やがて宇宙時代を本格的に迎えることになる現代においては、このような「新しい要素」がこどもたちの成長に特別に重要な役割を果たすことになるかも知れません。

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“健康” : 健康開発の新しい方法

スペースチューブ体験で、「身体をもつ存在である自己」について楽しむことができます。個人が無意識のうちに大切にする「固有の感覚」を目覚めさせ、その感覚に根ざした個人のための「新しい身体ケアの方法」を考え、健康開発のための新しい発想を得ることができます。

[健康ワークショップ]

・主として『パランスと姿勢の部屋』使用。
・対象 ; 一般・何らかの障害をもつ人・高齢者

身体をもつ存在である自己」を楽しむためのウォーキングダンスを実践します。スペースチューブの中で、ゆっくりと、足裏を中心に、身体をスペースチューブに委ねるようにして歩いていくと、「新しいバランス感覚」を得られます。その時、足裏は、地面との間に親密な関係を回復しています。

身体の老化は、ほとんどの場合、足のくるぶしが硬くなり、足裏を地面にうまく着地できなくなる状態から始まります。足のくるぶしの柔らかい人は、年齢にかかわらず、驚くほど「健康な身体」を保っています。

スペースチューブの中のウォーキングダンスで、体験者は足のくるぶしを柔らかくし、足裏と地面の関係を親密にでき、全身を解放できます。全身を解放することで、スペースチューブとの一体感が生まれ、スペースチューブが体験者の「第2の身体」になり、身体を「客体」として扱える度合いが高まります。この客体化により、身体の不調な部分に対する気づきも生まれ、そのケアも容易になり、「健康な身体」を保てます。

このようなウォーキングダンスとは、おそらくは「人間が誕生した最初の頃の二足歩行」に近く、体験者は自分の遠い過去を追想しつつ、「人間をはじめ直すような固有の感覚」を得られます。この感覚が「新しい身体ケアの方法」のための必須の基礎になります。この感覚は特殊なもので、手に入れるためには、ジョギングもマラソンも、一般的な健康法もトレーニングマシンで筋力を鍛えることも、あまり役立ちません。

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“福祉” : 得意にする感覚で自信をもつ

スペースチューブ体験で、自分の感覚に不安をもつ人も、何らかの障害をもつ人も、「自分が得意にする感覚」に覚醒でき、その知覚上の特徴を生かして、自然なやり方で自己の潜在的能力を発見したり、「自信」を高めることができます。高齢者にも、長い人生の中で培ってきた知恵と固有の記憶の蓄積があり、その核心になる感覚を表現すれば「若者には手が届かない味」を出すことができます。

[福祉ワークショップ]

・主として『パランスと姿勢の部屋』『光と闇の部屋』使用。
・対象 ; 一般・何らかの障害をもつ人・高齢者

すべての人を対象に「福祉ワークショップ」を実践できます。私たちのスペースダンスの世界では、いわゆる「健常者」は一人も存在せず、誰もが何らかの身体的或いは精神的な「障害」をもっていると考えています。

」に満たされたスペースチューブの中でウォーキングダンスを試みる時、体験者がもつ「障害」の種類や程度により、視覚・触覚・聴覚・空間知覚などの感度の差も顕在化され、その体験の様子も、体験者が感じる「気づきの内容」も、大きく異なってくるでしょう。

ある時、身体に震えをもつ一人の自閉症のこどもがスペースチューブの中に入った時、震えが止まり、少年は嬉しそうに笑い出し、大声で何事かを叫びはじめました。付き添いのアートセラピーの先生によれば、「スペースチューブの中では、お母さんに優しく抱きしめられた時と同じようなやわらかな拘束感を感じる。それが少年の震えを止め、安心させたのではないか」との説明で、この少年が笑ったのも久しぶりだったとのことでした。

また、ある時、視覚を失ったダンサーがスペースチューブの中に入った時、視覚をもつ私たちにはできない姿勢をつくり、楽々と浮遊して見せました。スペースチューブの中で浮遊したのはこのダンサーがはじめてでした。理由を聞くと、「スペースチューブは、杖で空間を探る必要がないので、安心していられる空間。その分、注意を集中できた」との返事でした。

また、別の時、歩行が困難で、足をうまく運べず、身体にゆがみが出ていた高齢者がスペースチューブの中に入った時、私たちの「ゆっくり、やわらかく」というアドバイスを聞いただけで、「足が上がった!」と叫び、滑るようなやわらかい歩行をはじめ、スペースチューブも奥行きをもったダイナミックな形態として表現されました。「ゆっくり、やわらかく、ふるまう」ことの大切さを知るのは何よりも高齢者の知恵であり、彼女は何事かに気づいたに違いありません。

こうして、スペースチューブは、何らかの「障害」をもつ人が自分の知覚上の特徴を生かし、自然なやり方で自分の潜在的能力を発見して「自信」をもち、自分を高めることができるようです。

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“アート&サイエンス” : 誰もがアーティストやサイエンティスト

スペースチューブの中では誰もが「即席のダンサー」となり、「多様な姿勢の創造」に挑戦できます。そのセンスを磨けば、新しい発見があり、人には出来ない自分だけの表現や仮説を構成でき、新しい時代のアーティストやサイエンティストとして誕生できるかも知れません。

[アート&サイエンスワークショップ]

・『パランスと姿勢の部屋』『リアルとバーチャルの部屋』使用。
・対象 ; こどもたち・中学生・高校生・大学生・一般・何らかの障害をもつ人・高齢者

スペースチューブの中では、左右と底辺からつよく働く「反力」を利用して、見たことがないような動きや姿勢を形成でき、誰もが「即席のダンサー」に変身できます。その動きは、外から見ていると、まるでのようだったり、両生類四足動物のようだったり、人間の姿とは思えないユニークな姿勢がたくさんあります。

体験者が「多様な姿勢の創造」に挑戦している時、体験者のもそれに連動し、新しい経験をしているようです。人の脳は、その誕生の過程で母の胎内に10ヶ月存在する時に、発生時の脳からの進化史を再現しつつ形成されるため、脳にはすべての生命体の記憶が貯蔵され、人の身体の動きにも「人の動き以外の動き」が混じっています。体験者が動きの新しい層に触れる時、脳もその動きを記憶する部位に「刺激」を受けています。

そのため、体験者が「人の動き以外の動き」の開発に夢中になり、本物のダンサーのように関節をづらして意図的に新しい姿勢の開発に取り組む時、体験者はアーティストに必要な「オリジナルな表現」を獲得し、「思いがけない自分」を実現できるかも知れません。

また、その時の「身体と脳の関係」に細心の注意をはらっていくことで、体験者自信にも思いがけない自分のセンスを発見し、脳についての「科学的な新しい発見」を実現して、サイエンティストとしての道を歩くことになるかも知れません。

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“環境” : 生活のための新しいデザイン

スペースチューブ体験で、「身体と環境は一体であり、身体を環境から切断して扱うことはできない」という大切な思想を学べます。21世紀は、誰もが知る通り「環境」がキーワードになった時代です。「身体と環境を一体と考えるアプローチ」から、建築・デザイン・情報の分野に「新しいデザイン」が誕生します。

[環境ワークショップ]

・『パランスと姿勢の部屋』『光と闇の部屋』使用。
・対象 ; こどもたち・中学生・高校生・大学生・一般・何らかの障害をもつ人・高齢者

スペースチューブでは、体験者の動きとスペースチューブの形態が「一対一の即応の関係」にあるため、体験が楽しく、その中で長く遊んでいる体験者ほど、スペースチューブに対してまるで故郷に帰った時のような「懐かしい感覚」を抱くことができるようになるでしょう。

私たちの世界は、もう少しこのような「懐かしい感覚」をもたらす空間に満たされていてもよいのではないでしょうか? デザイナー・建築家と共に、スペースチューブを媒体として使用し公園体育館オフィスに対する環境デザインを試みます。

こどもたちに人気の高いスペースチューブを「公園」に入れると、どうなるでしょう? こどもたちならスペースチューブをどう使いたいでしょう? 「公園」に遊びに行く親子が毎年減少しているといわれる現在、「公園」の活性化のためにもこの試みが有効になるでしょう。サイズも形態も自由に変形できます。「迷宮」も面白そうです。

「体育館」でも、倉庫にあるのは跳箱やマットが中心で、体操器具は何十年もそのままで、新しいものがありません。しかし、時代の大きな変化により身体がもつ欲求も変化しているはずです。スペースチューブを体操器具の一つとして採用すると、どんな効果が生まれるでしょうか? その場合、跳箱やマット等との関係をどう調整すると、より効果的でしょうか?

世界の先端的オフィスでは、残業なしで、午後5時以降は仕事道具をきれいに片付け、事務所をトレーニングスタジオに変貌させるなどの面白い運動が始まっています。オフィスに、スペースチューブを設置容易な「キューブ」として小型にして導入できると、そのような「オフィス革命」の一端を担えるかも知れません。

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“宇宙” : 宇宙開発のための新しい想像力を鍛える

スペースチューブ体験で、新しい想像力を養うことができます。宇宙の無重力環境では歩行が不要のため、 「足」もやがて「手」になり、「四手人間」が誕生する? 二足歩行をやめる人類は人類と言えるでしょうか? 地上の一重力下で生まれた地球文化は、無重力の宇宙では役立たない? 宇宙で誕生する子供たちと地球の子供たちの関係は? 両者の間に宇宙戦争が始まったりしないでしょうか?

[宇宙ワークショップ]

・『パランスと姿勢の部屋』『思索と癒しの部屋』使用。
・対象 ; こどもたち・中学生・高校生・大学生・一般・何らかの障害をもつ人・高齢者

人間が、月や火星や、またその他の居住可能な惑星に移動を始める将来、人間の身体はどうなっているでしょうか? 宇宙の無重力環境では「足」は退化し、それが「手」になり、「四手人間」に変化する可能性があります。人間は二足歩行を完成させることで「前足」を「手」に変化させ、「手」を器用に操ることで道具・機械・モノの世界をデザインし、現代の文明社会を築きました。「四手人間」になれば、さらに高度な驚くべき宇宙文明を開拓することになるでしょうか? しかし、その時にはもはや人類は人類でなくなっているかも知れません。

「宇宙ワークショップ」では、スペースチューブの中で浮遊しながら、「宇宙生活」について想像します。人間は宇宙に進出してどうなりたいのか? 必要であれば身体も改造するでしょうか?

たとえば、「宇宙生活」でいつも浮いていると、自分の姿勢も恋人の姿勢も共に不安定で、地上の時のように恋人に容易に触れることができません。他者との関係で最も大切な「身体コミュニケーション」を回復するためには、どんなことが必要になるでしょうか?

また、人間の「手」の「親指」は独特な機能をもつ指として進化し、他の4本の指に対面から触れることができます。「足」の「親指」は4本の指と同様に並列しているだけでこの機能はありません。人間が道具・機械・モノの世界をデザインできたのも、この特別な「親指」のおかげです。そのため、将来的に人間が「四手人間」に進化することを想定し、「足」に「手」と同じ作業をさせるためには、どんなことが必要になるでしょうか?

人間がもつ夢と希望が人間の未来」を決定し、「テクノロジーの使用の仕方が人類進化の方向に大きな影響を与える」ことは確実です。そのため、このような空想も、うまく蓄積されていくならば、大きな力を発揮することになるでしょう。

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■なぜ新しい科学的センスが必要なのか?

スペースチューブ体験で、忘れていた身体感覚を回復でき、
「21世紀社会を生きるために必要な新しい科学的センス」を養えます。

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私たちは、スペースチューブ体験により「21世紀を生きるために必要な新しい科学的センス」を養うことができように、「教育・健康・福祉・アート&サイエンス・環境・福祉」の6テーマによる社会デザインワークショップを実施します。

急速に進む情報社会においてリアル(現実)とバーチャル(仮想)の判別が誰にも困難になりつつある現代の社会状況において、『スペースダンス・イン・ザ・チューブ』におけるチューブ体験は、参加者(子供たちから高齢者・何らかの障害をもつ人たちまで)の身体を直接に刺激し、自分がいかにリアルな身体的存在であるかを教え、人間として持っている本来の豊かな身体感覚を覚醒させることができます。

子供たちの世界でも、子供による殺害事件が発生するなど、現実の仮想化が進み、リアリティ感覚の欠如の問題がその原因の背景にあることが予想されます。大人たちの世界でも、アメリカを先頭とする最近の戦争においては、ハイテク兵器による戦争のゲーム化に象徴されるように、殺人も夢の中での出来事のように映像上で実行されており、現実は軽くなる一方で、その仮想化が一段と進んでいます。

そして、21世紀社会はロボット社会として実現されていくことも時代の趨勢であり、仮想(夢)の対象がいよいよロボットとして体現され、家事・介護・医療・コミュニケーション・軍事等を担う支援ロボットとして、また危険地域において人間の代わりに働く分身ロボット等として現実世界に登場してきます。その時には、子供たちがロボット利用により現在よりもさらに痛ましい犯罪を犯すことも、大人たちがロボット兵士をあやつり「夢の感覚の中での殺人」をさらに拡大させていくことも、充分に想定しておく必要があります。

したがって、子供にも大人にも切実に必要になるテーマとは、科学技術リテラシー習得の一環として、いかなる仮想(夢)の登場に対しても正しく対処できるための新しい能力としての「21世紀を生きる知恵~新しい科学的センス」を育成することであり、リアリティを保証する身体感覚はそのための「最後の拠点」になります。

身体感覚の回復、リアルな身体的存在であることの認識。しかも、リアルとバーチャルのどちらかにつくのではなく、両者を分別し、両者の必要な配合を調整する能力を育てるための教育。この点が、子供たちの今後の教育を考えるにあたってもきわめて重要になると考えられます。

それは、今後の教育に求められるものも、単なる新しい興味の喚起ではなく、科学技術が調和的に人間生活のデザインをリードできるように、そのために役立つ新しい興味の喚起であって欲しいからであり、その意味おいて現代の情報社会と予想されるロボット社会の両刃性を考える時、まずは探求対象に向かう子供たち自身の身体感覚を覚醒させるということは、時機に適ったふさわしい方法であると思われます。

今後の社会は、「体験性」に根ざした「やさしい社会の実現」に向かうべきであり、豊かな身体感覚に裏づけられた発想こそ、次代の科学技術の創造を担う可能性があります。スペースチューブ体験により、子供たちをはじめとする体験者は、そのような体験の第一歩を味わい、新しい科学的センスを養うことができます。

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